Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「俊次くん、今日はホントに大活躍だったね!お疲れ様!」
俊次は立ち止まり振り返ると、遼太郎とよく似たはにかんだ笑顔を、みのりへと向けてくれた。
俊次にはああ言って収めたものの、伊納のしつこさは、みのりにとって本当に悩みのタネだった。
「食事に行こう。」
伊納が芳野高校に着任してからもうすぐ1年。その間、伊納はみのりの顔を見るたびに、ずっとこう言って誘いをかけてきた。
やんわりどころか、かなりはっきりと断っているのに、いっこうに伊納はメゲる気配がない。
〝狙った獲物〟は落とさなければ、彼のポリシーに反するのか。それとも、断る理由が、「忙しいから」ではなく「あなたが嫌いだから」と言わないからなのか。
ただ、仕事帰りに食事に行くだけなら、本来ならば何の問題もない。実際みのりは、古庄や他の男性の同僚と一緒に、独身男性を相手にしているような定食屋などによく足を運んでいた。
けれども、伊納の言う「食事」はそういうことではない。彼にとっては、「食事に行こう」=「デートをしよう」、ということだ。
いずれにしても、これは一度伊納の提案に乗らなければ、諦めてくれそうになかった。