Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そうしている間にも、伊納はタクシーを止めて、それにみのりを伴って乗り込んだ。
「…ど、どこに行くんですかっ…!?」
血相を変えて、みのりがようやく口を開く。
「さあ、どこだろうね?」
みのりの焦りを想定していたのだろう、伊納はとぼけたように答える。
「でも、もう遅いですし、明日も仕事があるから、もう帰らないと…!」
「大丈夫、まだ10時すぎじゃないか。…それに、君は1時間も遅れてきたんだから、埋め合わせはしてもらうよ。」
この伊納の言葉を聞いて、みのりは心の中で地団太を踏んだ。
――ああ、しまった~~~っ!!!
自分のささやかな抵抗が、こんなふうに裏目に出るなんて思ってみなかった。どうやらこういった駆け引きは、百戦錬磨の伊納の方が数枚上手だったみたいだ。
みのりはもう何も言い返せなくなって、間もなくタクシーは伊納の目的地に着いてしまった。
「…なんで、ここに…!?」
見覚えのあるその建物に、みのりは目を丸くする。そこはかつて、みのりの親友の澄子が住んでいたアパートだった。
「俺のアパートだよ。」
「ええっ!?伊納先生の…?!」
――ヤバい、ヤバい、ヤバい!…このままだったら、絶対ヤバい!!
このまま部屋へと上がり込んでしまったら、どんなことがあっても、それはもう〝同意の上で〟ということになる。