Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
あの個別指導を始めてから、遼太郎は目覚ましいほどの成長を見せてくれた。成績だけでなく、一人の人間としても……。
初めは、確かに生徒の中の一人に違いなかったのに、いつしか彼はみのりの一番大切な場所にいるたった一人の男性(ひと)になった……。
「…先生?………みのりちゃん!」
突然かけられた俊次の声に驚いて、みのりはハッと我に返った。
「…どうしたんだよ?泣いてるじゃんか!?」
俊次から指摘されて初めて、みのりは自分の頬を伝う涙に気が付いた。
とっさに涙を手のひらで拭ったが、そうすることでごまかすことは出来ずに、説明する必要に駆られる。
「……前に、学校を辞めていった生徒のことを思い出してたら…。」
遼太郎のことを思い出していた…などと、本当のことを俊次に言えるはずもなく、みのりは取って付けたような言い訳をした。
すると、俊次はそれを訝るどころか、顔色を曇らせる。
「俺はそいつとは違う。学校辞めたりしないからな。」
その表情には、確固たる意志が現れていた。だからこそ、みのりに言われた通りに、素直にこうやって課題にも取り組んでいるのだろう。