Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 芳野の街の祇園祭、そのクライマックスを迎える曳山は、夏休みに入って最初の土日に行われる。

 『遼太郎の家に行く』という重荷から少しでも心を逸らすために、みのりは由起子と共に祇園祭で賑わう街へと出かけてみることにした。

 もう何年も芳野に住んでいるのに、みのりはこの祭りを楽しんだことはなく、だからこそその賑わいの中に身を置くと、少しだけ心も浮き立ってきた。


 女っ気のない由起子を無理やり引っぱり、浴衣を貸し出してくれる特設ブースに行って、二人して好みの浴衣を選び着替えてみる。


「私に、こんな格好させて…。恥ずかしいったら、ありゃしない…!」


と、一応嫌がっているような口を利いているが、由起子本人もまんざらではないようだ。
 そして、みのりの浴衣姿を見て、由起子は息を呑む。

 長くなった髪を結いあげて、白地に朝顔の花が描かれた浴衣を着こなすみのりは、清楚で可憐なのに、匂い立つような色香もあった。


「仲松さん…。そんなに綺麗なのに、一緒にいるのが私なんて、もったいないね。」


 そんな由起子の言葉を、自覚のないみのりは一笑に付す。


「何言ってんの?その辺の男より、由起子さんと一緒の方が気楽でいいわ。さあ、まず弥栄神社に行かなきゃね!」

「え?…弥栄神社?」

「そうよ。祇園祭って、弥栄神社のご祭礼だから、やっぱりちゃんとお参りに行かなきゃ!」


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