Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「…な、なんで、…みのりちゃん?!…え、お、俺?俺、何かした…!?」


 そして、突然意味もなく焦り始める。自分が学校で何か問題を起こしたので、みのりが来ている…と思い込んでいるようだ。


「俊次!そんなに焦るなんて、何か変なことでもしてるの?仲松先生は、家庭訪問にいらっしゃってるんでしょう?」


 母親が恥ずかしそうな声を上げると、俊次も状況を把握して、いつもの調子が戻ってくる。


「なぁんだ、みのりちゃん。まだ家庭訪問に来てなかったのかよ〜?」


と、スポーツバッグを放り投げ、側にやって来てソファーに座ろうとする。すると、すかさず母親が叫んだ。


「ああっ!俊ちゃん!!ダメよ、座っちゃ!!」


 反射的に、俊次は空気イス状態で、動けなくなった。

 訳が解らないのと、その母親の大きな声に、みのりが驚いて目を丸くする。そんなみのりの反応を見て、母親は顔を赤らめて口を押さえた。


「……座るのは、シャワーを浴びてきてからよ……。」


 部活をして帰ったから、俊次は砂と泥にまみれているはずだ。なるほど…と言った表情で、みのりも俊次を見上げると、俊次はスゴスゴと腰を上げ、リビングを出て行った。


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