Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 こんなにも苦しいだけなら、この想いはもう〝恋〟ではないのかもしれない。それでも、この想いを自分から切り離したいと思っても、どうやってそうできるのかさえ分からない。


 もう会えない人…想いを遂げられない人を想い続けるということは、これだけ苦しいことなのだと、今日みのりは思い知った。
 そして、これからも想い続けていくためには、この苦しみに耐えられる心の強さが必要なことも――。


――……でも、私は…、そんなに強くない……。


 明かりもつけずに靴を脱ぎ、ようやく居間までやって来ても何も手に付かない。誰もいない暗い部屋の真ん中で、みのりは一人で立ち尽くした。

 苦しみを発するこの想いに囚われて、圧し負けてしまったら自分はどうなってしまうのだろう…。


「…誰か…、助けて……。」


 溢れてくる涙と体の震えを止められず、みのりはしゃくり上げながら無意識にそうつぶやいた。


 その時、みのりの疲れ切った心に、ぼんやりと浮かんできた人物がいる。


 昨日こそ、みのりにプロポーズをしてくれた……、蓮見だ。
 あのしっかりと握ってくれていた手を、握り返せたら……、きっと楽になれる……。


 しかし、その次の瞬間、とっさにその思考を打ち消した。


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