Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……あんた、みのりちゃんに、ちょっと甘えすぎなんじゃないの?」
部活が終わり、片づけも終わって帰ろうとしていた時、その普通ではないみのりと俊次の状態を、二俣の妹、愛が指摘する。
スポーツバッグを抱えて部室を出て行こうとしていた俊次は、面食らって愛を見返した。俊次自身そう感じていたことを、否定的に愛から指摘されて、俊次の顔も不穏に変化する。
「なんだよ。俺だって、みのりちゃんに無理にお願いしてやってるわけじゃないからな。みのりちゃんが『やろう』って言うから…。」
言い訳がましい俊次の言いように、愛が呆れ顔で続けた。
「だから、それが甘えてるって言ってんのよ。いい加減、自分一人で出来るってところを見せなさいよ。」
さすがに俊次も、こう言われてカチンとくる。だけど、真実を衝かれているだけに、論理的な反論ができない。
「…そんなこと言って、俺がみのりちゃんを独り占めしてるから、ひがんでんだろ?!」
目下、受験勉強真っ最中の3年生の愛にとって、みのりのような先生に個別指導をしてもらえるのは願ってもないことだが、それが出来ない事情がある。