Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「はあ?何言ってんの?!私はあんたと違って、自分のことは自分でしてるし!それに世界史選択してるから、みのりちゃんに教わりたくても、そもそもできないし!」


 現実をきちんと捉えておらず、小学生みたいなことを言う俊次に、愛の声は自ずと大きくなった。
 すると、俊次もますます収まりがつかなくなる。


「じゃあ?何でそんなに突っかかるんだよ?……わかった。みのりちゃんに妬いてんだろ?俺がみのりちゃんと二人きりになるのが、気に入らないんだ?」


 俊次にそんな言われ方をして、愛は逆上した。顔に血がのぼり、何も言い返す言葉が出でこず、代わりに鉄製の籠に入れられたラグビーボールに手が伸びた。

 次から次へと、俊次めがけてラグビーボールを投げつける。


「…な、なにすんだよ!」


 手でボールを防ぎながら、たまらず俊次が悲鳴のような声を上げる。


「…バカじゃないの?!誰があんたなんか……!!」


 ようやくそう言葉を絞り出すのと同時に、愛の頬に涙が伝った。
 そして、手にあったボールを足元に放り投げると、俊次の脇を抜けて部室から走り去る。


 俊次は訳が分からず、目を丸くして愛の行動を見送り、一人残された部室を見回して、再び愛の背中に声をかける。


「おい!お前、これ、ボール!片付けていけよ!!」


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