Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
しかし、愛はその叫びを無視し、振り返らなかった。これに、俊次の怒りも頂点に達する。
「なんで、俺がこれ、片付けなきゃなんないんだよ!!」
俊次は、ボールを拾い上げては籠に向かって、怒りに任せて投げつける。けれども、ボールは鉄製の籠の縁に当たるばかりで、跳ね返ってますます散らかってしまった。
「くそう!」
癇癪を起して、部室の真ん中で一人で吠えた。それから、一息ついて、一つ一つボールを拾い上げては籠の中に運んで入れる。
「……なんで、あんなに怒ってんだよ。」
最後のボールを投げ入れて、俊次はポツリとつぶやいた。
この出来事は、次の日には俊次の口から、みのりの耳へと伝えられた。俊次は一部始終を細部にわたって、その鬱憤までも余すところなく、みのりの前でぶちまけた。
「あいつ。何が気に入らねーのか、知らねーけど!八つ当たりされて、マジで迷惑だし!!」
そう言って憤慨している俊次に、みのりは驚いたような顔をしながら軽く笑いをもらした。その反応を見て、俊次はますます眉間の皺を深くする。
「笑い事じゃねーよ!!みのりちゃん!」
と、俊次が本気で怒っている風なので、みのりも真面目な態度で俊次に向き直った。