Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「自分が全く思ってもいないことを決めつけられたら、それは本気でムカつくんだけど、逆に、自分でも気づいていない真実を衝かれても、焦って怒りたくなるものなのよ。」
「………。なんだよ、それ。意味、解んねーし。」
みのりの持論を聞いても、俊次の眉間の皺は消えなかった。俊次にはまだ、女の子の心の機微を理解することが難しいらしい。
「…俊次くん、そんなんじゃ、当分『彼女』はできそうにないね。」
「はあ?なんで?!ますます意味解んねーし!!」
呆れたようにみのりが笑うと、俊次はみのりに対しても憤慨していたが、それでもみのりはニコニコとして、俊次を見つめる目に笑みを宿した。
みのりが想像するに、愛は俊次のことが好きなのだ。
その真剣な想いを、俊次に茶化されて頭にきたのと、本当の想いを素直に上手く伝えられず、ケンカになってしまったのだろう。
このまま俊次との仲が険悪になってしまったら、それこそ愛がかわいそうだ。
「…うん。それじゃ、私から愛ちゃんには説明してあげとく。私が必要だと思ってるから、俊次くんの個別指導は続けてるんだって。」
そう言って、みのりが俊次の気持ちをなだめてあげると、俊次は釈然としないながらに口をつぐんだ。