Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
何度も何度もそんな思考を繰り返し、みのりは何度か携帯電話の画面に蓮見のメールアドレスを表示させ、メールをしようと試みた。
けれども、その文面を打ち込もうとするたびに涙が溢れて、指が震えて……、どうしてもできなかった。
俊次と愛の仲違いは、それからどうなったのか…。
ラグビー部は恒例の菅平での夏合宿へと向かい、みのりが愛と話ができたのは、夏休み後半の補習が始まってからだった。
国立文系クラスにいる愛は、午後からも補習があるらしく、補習が終わると間髪入れずに部活に行くらしい。
クラスの大部分が大学受験に向けて本腰を入れているのに、長期間合宿に行かねばならないのは、ずいぶん負担になっているに違いなかった。
それでも何一つ文句を言わず、弱音も吐かず、懸命にマネージャーとしての仕事を全うしようとしている…。それは、愛の決意でもあるように感じられた。
「調子はどう?俊次くんとは仲直りできた?」
部活関係の書類を事務室へ届けた後、ちょうど階段を降りてきた愛と久々に対面できた。
生徒の昇降口へと一緒に向かいながら、愛の明るい笑顔に向けて軽快に声をかけてみる。
みのりに会えて笑っていた愛の表情が、みのりのこの問いを聞いた途端に曇った。