Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりのこの指摘を受けて、重かった愛の足取りがとうとう停まってしまう。うつむいて、戸惑うように視線をさまよわせる愛を、みのりは傍らからじっと見守った。
「……分からない。だって、みのりちゃんが言ってたのと違う気がして……。」
首を横に振る愛を、みのりは首をかしげながら覗き込む。
「私が…?」
「…みのりちゃん、前に言ってたでしょう?『本当に好きになる』ってこと……。」
「ああ…。」
以前、愛が告白されて悩んでいた時にみのりがアドバイスしたことを、愛はずっと心に留めておいてくれていたらしい。
「だけど、俊次くんは他のラグビー部員とは違うんでしょ?愛ちゃんにとっては特別なんじゃない?」
「特別かどうかは判らないけど、あいつのこと、一つ一つが気になってしょうがないの…。」
愛のもどかしい心情と同調して、みのりの胸もキュンと鳴いてしまう。
「…それに、あいつを『特別』にしちゃいけないの。私はマネージャーだから、仲間の一人だけを特別にはできないの。」
確固たる正論のような言葉だけれど、それを自分にも言い聞かせるように、愛は唇を震わせた。その心の中には、切なさが充満しているのだろう。涙が滲み、大きな瞳が潤んで光る。