Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
これはどう考えても、〝恋〟に違いなかった。だけど、それを〝恋〟だと自覚する過程は、愛が自ら見つけ出して辿るべきだと、みのりは思った。
「だけど、仲間の誰かが仲違いしたままじゃ、チーム全体の空気も悪くなるでしょ?…仲直りはした方がいいよ?」
そうみのりに声をかけられて、愛はまた黙り込んで足元を見つめ、ようやく口を開いた。
「……どうしたら仲直りできるのか、分からない。これ以上こじれるのが怖くて…、あいつに声がかけられない…。」
うつむく愛の肩を、みのりはそっと抱きしめた。前にも後ろにも動けなくなった愛の心を、そっとほぐしてあげるように。
「大丈夫。真心を込めて自分が正しいと思うことを、勇気を出してやってみるの。…俊次くんだってきれいな心の持ち主だから、きっときちんと応えてくれる。大丈夫、きっと仲直りできるから。」
陽炎が立つような熱気の中、生徒昇降口まで出て愛と別れた。第2グラウンドへ向かう愛の背中を、みのりは祈るような気持ちで見送った。
愛の心と呼応して、みのりの心臓もドキドキと鼓動を打っている。
好きな人を好きでいられることは、この上なく幸せで大切なことだと思う。まだそれさえも自覚できていない愛には、その想いを諦めないでほしい…。
今の自分は、全てを諦めてしまうことばかり考えて、都合のいい優しさにすがろうとしているけれども…。