Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 二俣は日の当たるところから、ひんやりとしたゴミ保管庫の前の日陰へと場所を移して、みのりへと向き直った。

 みのりも少し心をほどいて、ほんのりと笑顔になる。


「…忙しくて、美容院に行く暇がないのよ。二俣くんこそ、ずいぶん横に大きくなっちゃって、ラグビー辞めたのにお酒ばっかり飲んでるんでしょう?」

「お……!?」


 みのりに指摘されて、二俣は口を尖がらせて言葉に詰まった。


「さすが、みのりちゃん。その通り!!大人になったら、もう、酒が美味くて美味くて。」

「…『大人になったら』、…ねえ。」


 みのりの感覚からすると、12歳も年下の二俣が〝大人〟と胸を張るのには、いささか苦笑してしまう。


「…あっ!?みのりちゃん。いつまでも俺を子どもだと思ってるな?!でも、俺だって、来月21歳になるんだぜ?」

「そう、もう大学3年生だもんね。」


 みのりは苦笑をニッコリとした微笑みに変えて、二俣を見つめ返した。


「大学にはちゃんと通ってる?就職活動も、そろそろだよね?」

「そりゃもちろん、大学には通ってるよ。就職活動は…、実は俺、大学卒業した後はワーキングホリデーで外国に行ってみようと思ってて…。」

「…へぇ…!」


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