Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 そんなことを考えている間に、試合開始時刻が近づき、一旦姿を消していた選手たちが華々しい音楽と共に入場してきた。
 観客も起立しての両国の国歌の後、オールブラックスの勇壮な「ハカ」が披露され、いよいよテストマッチが始まった。


 目の前に、本当に本物のオールブラックスがいる…。

 憧れの選手だったスタンドオフのダン・カーターは、もう代表の中にはいなくなってしまったけれど(※)、それでもどの選手のプレーも、ため息の出るほど素晴らしい。遼太郎の胸は、ずっと会いたかった人に逢えたみたいに高鳴って、息をするのも忘れた。


 日本もオールブラックスについてしっかりと対策を練って試合に臨んでいるらしく、最初の20分間くらいは五分五分の試合展開となった。

 絶対的な相手に向かって懸命に喰らいついていく日本の選手たちの姿を見て、遼太郎の心が震える。花園予選の決勝で、常勝の都留山高校に向かっていった自分たちの姿と重なって、その心境までも同化する。


 目の前でプレーする選手たちの一挙手一投足を食い入るように観戦していると、あっという間に前半が終わってしまっていた。


 選手たちがロッカールームに戻ってピッチからいなくなると、遼太郎はホッと息を抜いて、いつの間にか額からにじみ出ていた汗を拭った。




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(※ ダン・カーターはオールブラックスのスタンドオフをしていましたが、2015年のワールドカップを最後に、代表を引退しています)
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