Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
もう一つの厄介な可能性が頭をかすめて、多分そちらの方が現実なのだろうと、遼太郎は推測する。
試合が終わって、日本代表の健闘を称える拍手を贈った後、陽菜を無視するわけにもいかず、遼太郎は陽菜に向き直った。
陽菜は遼太郎から視線を向けられて、ニコリと笑みを返す。そんな無邪気な笑顔を見ても、遼太郎からはため息しか出てこない。
「…どこからどこまでが嘘だったのか、説明してくれるかな?」
いつも優しい遼太郎が笑い返してくれないことに、陽菜も神妙な面持ちになり、微妙な空気が辺りに漂う。
「……人からもらったって言ったのも、チケットが1枚しかないって言ったのも、全部ウソです……。」
――…やっぱり…!
陽菜の告白を聞いて、遼太郎の顔つきがますます険しくなった。
「…それじゃ、君が俺の分のチケット代も払ってるんだな?」
凄味のある声色に、陽菜はただ頷くしかできない。遼太郎はチケットに印字されている金額を確認して、財布を取り出す。
「とにかく、金は払うよ。試合を観られたのはありがたかったけど、もうこんなことはしないでほしい。」
冷たくあしらうような遼太郎の態度を目の当たりにして、陽菜の神妙な顔の眉間に皺が寄り、仏頂面になる。