Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 しかし、また大学で会っても、きっと陽菜は逃げ回っていて、結局チケット代を受け取ってくれないだろう。陽菜に奢られたままで、負い目を感じ続けるのも嫌だった。
 陽菜のペースにはまってしまうような気がして釈然としなかったが、遼太郎は頷かざるを得なかった。


「…分かったよ。夕飯を奢ればいいんだな?」


 その遼太郎の一声に、陽菜の笑顔がいっそう輝く。満足そうに一つ頷いてから、ちょこちょこと遼太郎の後を追いかけるように歩き出した。


 夕食を一緒に食べることになったのはいいけれども、時計を確認してもまだ4時過ぎだ。お茶ではなく夕食には、如何せんまだ時間が早すぎるだろう。


「少し歩いて、表参道の方へ行ってみます?」


 陽菜の提案を聞いて、遼太郎はあからさまに嫌な顔をした。いつも後輩に接しているように、陽菜に対しても優しい態度でいたかったが、とてもそんな気分にはなれなかった。


 自分たち二人がきらびやかな表参道に行って、何をして時間を潰すというのだろう。

 遼太郎の中に、かつて彩恵にあちこち連れまわされた〝デート〟と言う苦い記憶が甦ってくる。あれは遼太郎にとって、決して楽しい経験ではなかった。ましてや〝彼女〟でもない陽菜を相手に、そんな我慢を強いられるのはまっぴらだった。


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