Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「ありがとう。よく言われる。」
そんな陽菜に対してみのりはニッコリと笑うと、冗談を含ませてそう答えた。すると、陽菜はそれを面白く感じたのだろう、明るく声を立てて笑って応える。
みのりはそんな陽菜を見て、本当に可愛い子だと思う。くるっとした目はいつも潤んで輝いているようで、鼻や口も形よく整っていて愛らしく、なによりも屈託のないその笑顔には、女のみのりでさえドキッとするほどだ。
陽菜はさらに気立てもよく、こんな子ならばきっと誰だって好きになってしまう。
……きっと、遼太郎もそんなふうに思っているのだろうと、みのりは想像を巡らせた。
みのりの向かいに座る遼太郎も、確かに遼太郎には違いないのだけれど、みのりの記憶の中にいる高校生の遼太郎とは、全く違っていた。
ラグビーをしていた頃の土っぽさが抜け、都会の空気に上手になじんで洗練されている。高校生のあどけない面影はなくなって、きちんと意志を持った〝大人の男性〟の雰囲気を、みのりは感じ取った。
「狩野さんって、高校生の時は、どんな生徒だったんですか?」
甲斐甲斐しくパスタを取り分けながら、陽菜がみのりに質問する。
すると、みのりではなく遼太郎の方が、怪訝そうに合いの手を打った。
「どんな生徒って、普通の生徒だよ。なんでそんなことが知りたいんだ?」