Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「だけど、そのおかげで、もう髪を切れますよ。好きな髪形にしてください。」
遼太郎の言葉を聞いて、みのりの笑顔がもっと楽しげなものに変化する。
「そうね!これからいっぱい触ってもらえるんなら、いっそのこと坊主頭にでもしようかしら!」
「……えっ!?」
突拍子もないみのりの言動に、遼太郎は返す言葉に詰まってしまう。
「私はお寺の娘だから、それもアリだと思わない?多分似合うと思うのよ?」
面白そうに笑うみのりにつられて、遼太郎も笑いだしてしまう。
ひとしきり笑った後、一息ついたみのりがチラリと腕時計を見た。楽しく穏やかな時間はあっという間に過ぎていき、もうすぐ三時になろうとしている。
五時過ぎの飛行機に乗るのならば、もうそろそろ空港へ向かわなければならない頃だ。
「……もうこんな。そろそろ出よっか……。」
みのりがテーブルの上の伝票を手に立ち上がった。
「あ、お金。俺、払います。」
すかさず遼太郎はそう申し出たが、みのりもすぐにそれを遮った。
「遼ちゃんはまだ学生なんだから、遠慮しちゃダメよ。会計してくるから、ちょっと待ってて。」
みのりは明るくそう言いながら店内にあるレジへ、小走りで駆けていく。先ほど話題になった長い髪が揺れて、遼太郎の目はそれを追って動かせなくなる。