Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「先生。大丈夫なんですか?ちゃんと芳野まで帰り着けますか?」
店を出て、最寄りの駅への道をゆっくりと歩きながら、遼太郎は冗談を含めて口を開いた。すると、みのりは心外そうに顔をしかめる。
「な…!当り前じゃないの。帰り着けるわよ!」
「ホントかな?搭乗口間違えたりしないでくださいね。」
「大丈夫だってば!ここまで来るのは大変だったけど、帰るのは簡単よ。」
ムキになるみのりが可愛くて、遼太郎はもっとみのりをいじってみようかとも思ったが、みのりの受け答えが気に留まった。
「そういえば、どうして先生は、俺の住所を知ってたんですか?まさか、俊次に聞いたとか?」
「ううん。俊次くんじゃなくて。……二俣くんに聞いたの。聞いたっていうか、メールで教えてくれて……。」
二俣の前で自分の心を吐露し、大泣きしてしまったことを思い出して、みのりはおのずとか細い声になった。
「ふっくんが……?」
「この前の夏休みに、学校へ会いに来てくれたのよ。」
きっとそのときに、自分のことについて話したに違いない。でも遼太郎は、二俣とみのりがどんな話をしたのか、聞き出す問いを発することができなかった。
みのりの方も、そのときの細かいことを遼太郎に打ち明けることができず、黙り込んでしまう。