Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
加えて、空港へ向かわねばならない時刻が迫っていることも、二人の間の空気を重くした。
みのりは何か明るい話題を持ち出したいと思ったけれど、何も思いつかず、逆に気がかりなことがひとつ頭の中に浮かび上がってくる。
「……陽菜ちゃんのことだけど。」
このことを言えば、遼太郎の心を曇らせることになるのは分かっていたけど、そのままにして帰るわけにもいかなかった。
案の定、遼太郎は微笑みも浮かべず、黙ったまま視線だけをみのりへ向けた。
「陽菜ちゃんとは、きちんと話をしておいてね。」
みのりから釘を刺されて、遼太郎はいっそう顔を曇らせて口を開いた。
「……さっきも言ったけど、長谷川とはなんでもないんです。俺のことを、いちいち報告しなきゃいけないような関係じゃないし。」
遼太郎が陽菜のことを、女性としてどのように思っているのか、これまでにどのような関係を築いてきたのか。そこまで聞き出すことは、みのりにはできなかったけれど、心に引っかかっていたことは、単に遼太郎がケジメを着けることではなかった。
「でも、陽菜ちゃんは『なんでもない』とは思ってないでしょう?遼ちゃんのことを『好き』って公言してるし、今はそうじゃないけど、そのうち本物の彼女になれるって信じてる。なのに、私たちは昨日陽菜ちゃんに嘘をつくようなことをしたでしょう?きちんと説明しなかったら、きっと彼女を傷つけることになるから。」