Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
でももう、みのりが飛行機に乗るためには、時間の猶予はない。遼太郎は深く息を吸い込むと、思い切って口を開いた。
「……それじゃ、先生。」
「……うん。」
みのりは声を掛けられて、遼太郎を見上げた。
明るく別れようと、いつもの笑顔を見せるつもりだった。だけど、遼太郎の目を見た瞬間に感情の制御ができなくなって、涙が込み上げてくる。何とか我慢しようとしたけれども、意思に反してその涙は溢れて、零れ落ちてしまった。
「ごめんなさい……。こんなところで泣いたら、遼ちゃんを困らせるって分かってるのに……。」
うろたえたように俯(うつむ)くみのりを、遼太郎はそっと抱き寄せて、その胸で涙を受け止めた。大勢の人々が行き交う駅の真ん中で、遼太郎は人目を気にすることなくみのりを抱きしめる。
みのりも遼太郎をギュッと抱きしめ返し、溢れてくる涙を押し止めるように、その胸に顔を押し付けて鳴き声が漏れないように歯を食いしばった。
「離れ離れになるたびに、こんな思いをするのが怖くて……。遠距離恋愛なんて、私には無理だと思ったのよ。」
切なさに震えながら遼太郎にしがみついて、みのりが思いを漏らす。
遼太郎の胸も、会えなくなる寂しさに張り裂けそうだった。それでも、遼太郎は慰めとなる言葉を探して、みのりへとかける。