Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「おっと…!もうそんなふうにノロケられちゃ、たまんないな。」
佐山にそんなふうにからかわれても、遼太郎は幸せを否定せずに一緒になって笑ってみせた。そんな遼太郎を、樫原も自分の想いというフィルター越しに見つめる。
霧が取り払われたような晴れやかな遼太郎の表情。遼太郎にそんな表情をさせてあげられるのは、陽菜でもなく、ましてや自分でもなく、遼太郎がずっと想い続けていた〝その人〟だけ。
樫原は決意して笑顔を作ると、それを遼太郎へと向けた。
「狩野くん、よかったね。僕、狩野くんのために、ホントによかったと思うよ。」
樫原のその笑顔を見て、遼太郎と佐山の笑いの方は一瞬薄くなる。笑顔の裏にある樫原の葛藤を、遼太郎も佐山も知っている。それでも、そう言ってくれる樫原の思いやりが、遼太郎の胸にしみた。
「……ありがとう。」
遼太郎が改まってそう言いながら、樫原に微笑みかけると、樫原の笑顔も、今もまだ残る想いに少し切なくなる。
ちょうどその時、ゼミ室のドアが開いた。そこに入ってきたのは、……陽菜だった。
「あっ……。」
『やあ、陽菜ちゃん!』といういつもの明るい挨拶は出てこず、佐山は思わず、気まずそうな声を上げてしまう。