Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
今までの話の内容が遼太郎の恋人のことだっただけに、それまでの会話が続けられず、ゼミ室にいた三人は不自然に黙り込んだ。
陽菜も黙ったまま三人を見回すとその空気を察したのか、くるりと体の向きを変えるとドアを開けて出て行った。
バタンとドアの閉まる音で、我に返った遼太郎が、とっさに陽菜を追いかけて、ゼミ室から出て行く。
遼太郎の行動の意図が分からず、樫原は心配そうな声を上げる。
「どうしたのかな?狩野くん。陽菜ちゃんと何かあるのかな?」
「さあ?陽菜ちゃんのほかに、ちゃんとした彼女ができたことを言いに行ったんじゃないのか?」
遼太郎に〝彼女ができた〟ことは、陽菜のみならず樫原にとってもショックなことには違いなかった。けれども、樫原は笑って遼太郎を祝福することができた。
「……猛雄。」
そんな樫原に、佐山は意識せずに声をかけていた。切なさを漂わせる面持ちで、樫原は佐山へと視線を送る。
「お前、これでようやく、本当の遼太郎の友達になれたな。」
樫原は不意をつかれたような顔をして、その瞬間その上の切なさが消えた。
「……うん。」
樫原は一言うなずくと、冷えてしまったコーヒーを一口飲み込んだ。