Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「関係ない……?」


 遼太郎は眉間に皺を寄せて、陽菜の言葉を聞き直した。誠意をもって話をしようとしているのに、取りつく島もない陽菜の態度がますます癇に障る。


「何を話して、私を納得させようとしているのか知りませんけど。私の気持ちは、狩野さんには操作できません。誰が何と言おうと、私の気持ちは私だけのものです。どんなことが起ころうとも、私が狩野さんを好きだということは変わらない。私の命よりも大事な気持ちなんです。」


 陽菜は遼太郎のことを好きだと言いながら、まるで恨みでもあるように、鋭い目つきで遼太郎を睨んだ。そんな陽菜に、遼太郎は言葉をなくしてしまう。

 それは、遼太郎の知らない陽菜だった。いつもニコニコと笑顔を振りまいて、遼太郎のために動いてくれていたのがウソのようだ。でも、これも陽菜の一面。いや、これが陽菜の本性なのだろう。

 こんなに頑なで自分本位な陽菜には、何を言っても無駄だと思った。みのりは陽菜の心を察してとても心配しているけれど、言葉を尽くして説明する意味なんてないと思った。

 そう思ってしまった瞬間に、遼太郎の中の何かがプッツリと切れてしまった。遼太郎を形作っている優しさというものが、煙のように消えてなくなり、〝後輩〟に対する思いやりもなくなった。


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