Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 それは、夜に一人で眠るベッドの中だけでなく、職員室にいるときでも。生徒に小テストを解かせてホッと一息つく、ほんのわずかな時間の合間でさえも。


「みのりちゃん!なに、ぼんやりしてるんだよ?!」


 清掃時間、教室の中で声をかけられて、みのりはハッとして我に返った。遼太郎のことを考えていた矢先、俊次の顔がいきなり視界に飛び込んできて、思わず体をビクッとすくませた。


「なんだよ。人のこと、バケモノみたいに。」


「……ご、ごめん。」


 怪訝そうな俊次に、みのりは小声で謝ってみたものの、その胸の鼓動はますます激しくなる。
 俊次の目元は、遼太郎とよく似ている。その目で見られただけで、みのりの肌は粟立って自分が何をしているのか分からなくなる。遼太郎を意識して、みのりは俊次の顔をまともに見ることもできなくなった。


 こんな状態は、自分でも〝異常だ〟と思う。仕事に集中できないほど、こんなふうにこの想いに囚われてしまうなんて。

 みのりは、大人になった遼太郎に改めて出会って、もう一度新しい恋に落ちたようなものだった。一人の男性として、遼太郎を恋い慕う気持ちは、再会する前よりもいっそう強くなった。


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