Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりの容態の説明のために、別室に招き入れられる。その間も、陽菜が逃げてしまわないように、一緒に室内へと入った。
遼太郎は、みのりの血で汚れた服のまま、医師と向かい合った。
みのりは、見た目よりもずいぶん深く傷を負っていて、動脈を損傷してしまっていた。それが大量の出血に繋がり、ショック状態に陥っていたらしい。輸血をし、動脈と傷の縫合をして、今は鎮静剤で眠っているとのこと。
もし、もっと出血していたら命も危うかったと医師から聞いて、遼太郎の背筋に冷たいものが落ちていった。
みのりが眠る病室に入ることを許されたのは、もう深夜になっていた。
遼太郎がみのりの枕元にたたずむと、陽菜は出入り口のところでひっそりと立ちすくんでいた。
みのりの表情には苦しみはなかったけれども、顔色は依然として青白く血の気がなかった。
もともと、透き通るように色の白いみのり。だけど、こんな生気のないみのりを見るのは、遼太郎も初めてだった。
こんなことが本当に起こってしまうなんて。
ただの悪夢だと思いたくて、何度も目覚めようとしてみても、ほのかな明かりのこの病室も、みのりの腕に繋がる点滴も、目の前にあるものは現実に違いなかった。