Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……少し、陽菜ちゃんと話がしたいから、二人きりにしてくれる?」
みのりがそう言うのを聞いて、遼太郎は血相を変える。それから、激しく首を横に振った。
「冗談じゃない!先生を刺した人間と先生を二人きりになんて、絶対にできません!!」
「大丈夫。陽菜ちゃんは、私を狙ってあんなことしたんじゃないから。」
「……え?」
陽菜は、邪魔な存在のみのりを消そうとした。そう思い込んでいた遼太郎は、戸惑ったような声を上げて、みのりを見つめ返した。
「陽菜ちゃんは、私があのアパートにいるって知ってるはずないもの。」
みのりの推測を聞いて、遼太郎は言葉を逸する。……それでは、陽菜の目的は……。遼太郎が思考を巡らせ始めたとき、みのりが言葉を続けた。
「でも、こんなことになったのは、私のせいよ。私が陽菜ちゃんの心を弄ぶようなことをしたから。だから、少し話をさせて。」
「これは、先生のせいじゃないし。それに、二人きりにはしません。」
「それじゃ、この部屋にいてもいいから。だけど、口は出さないで。」
みのりから真剣な目で懇願されて、遼太郎はうなずくしかなかった。
陽菜とは、いずれにしても話をする必要はある。多分、みのりの力を借りなければ、まともな話し合いなどできないだろう。