Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「だから、遼ちゃんを刺そうと?死んだら、〝天国〟で遼ちゃんと一緒にいられると思ったの?」
「そうでもしないと、狩野さんを私のものにできないもの。」
このままでは、まだ遼太郎の身が危ない――。みのりは直感的にそう思った。その表情をいっそう険しくして、みのりは陽菜に訴えかけた。
「死んだら、確実に天国に行けるの?命は巡るかもしれないけれど、同じ時代に同じ場所に生まれ変わることはできるの?死んでしまったら、今のあなたの体も意識もなくなって、自分が自分でなくなるの。同じように、あなたの好きな遼ちゃんも、今ここで生きているから遼ちゃんなのよ。そんなかけがえのない存在を、どうして消してしまおうとするの?」
「先生に渡たすくらいなら、狩野さんの命は私がもらう。」
みのりと陽菜の会話を聞きながら、遼太郎は息を呑んだ。陽菜の語った想いは、遼太郎がみのりと交わす想いとは全く異質のもので、その執念とも言える想いに、遼太郎は恐怖さえ感じた。
陽菜がそう言い放つのを聞いて、みのりは思わず、その重い体を無理に動かして、ベッドの上に起き上がった。
「遼ちゃんに、手出しはさせない!絶対に……!!」
力が入らないみのりは、叫ぶことはできなかったが、その言葉には魂が込められて、とても力強く響いた。