Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「うゔぅぅん…。おいしいぃ~!!」


 一口食べて、みのりは唸るような感嘆の声をあげた。


「んな、オーバーな。」


 その反応を見て、遼太郎も思わず呆れたような声を出す。


「いや、多分、私が作るのより美味しいと思う。『得意料理』ってホントだね。」


 みのりがそう言って手放しで褒めてくれるものだから、遼太郎は逆に恐縮してしまう。


「先生が言ってくれてたからです。『難しく思わないでチャレンジ』しろって。」

「私、『しろ』なんて言った?」

「『しろ』って、命令はしてないけど。でも、これも先生から出された〝宿題〟だと思ってました。」


 それを聞いて、みのりの箸を動かす手が止まり、じっと遼太郎を見つめ返した。遼太郎のあまりの健気さに、みのりは胸が撃ち抜かれたような気持ちになった。


「……もう、私は遼ちゃんの〝先生〟じゃないんだから、なんでも私の言う通りにしなくてもいいんだからね?」


 みのりの言っていることの意味を考えて、遼太郎も食べかけていた手を休めて、みのりに向き直った。


「俺が大学を卒業して、先生に会いに行くときに、先生に対面しても恥ずかしくない自分になっていたかっただけです。それに、無駄なことなんて一つもない。先生が示してくれたことは、全部俺のために役立ってます。」


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