Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
着ていた服で胸元を押さえているみのりが、背中を拭いてくれている遼太郎に言葉をかける。
「今度東京に来るときも、手ぶらで来れちゃうね。下着やパジャマや洋服も買っててくれたし、ずいぶんお金がかかったでしょう?」
それだけではない。遼太郎はみのりの歯ブラシや、片手でも扱いやすいように泡で出てくる洗顔料、それに化粧水や乳液まで、生活に必要なものを買いそろえていてくれた。まだ大学生の遼太郎にはそんな余裕があるとは思えず、みのりの心配は当然だった。
「大丈夫です。俺、あんまり遊びに行ったりもしてないし、特に凝ってる趣味もないし。バイトもしてるから。」
遼太郎はみのりの右腕を手に取って、丁寧にそれを拭きあげながら、そう言った。
「あら。堅実すぎて、面白くないなぁ。」
すると、目を丸くしたみのりから、冗談交じりの感想が出てくる。それを聞いて、遼太郎も張り詰めていたものとともに表情も緩めた。
「そうなんです。俺は、くそ真面目で、面白くもなんともない男なんです。それなのにどうして先生は、俺のことが好きなんですか?」
面と向かって問われて、みのりは大きな目をパチパチと瞬きさせた。
「それは、遼ちゃんが〝いい男〟だからよ。決まってるじゃない。」
単純明快なみのりの直球が、ガツンと胸のど真ん中に投げ込まれて、遼太郎はみのりは見つめ直した。