Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 みのりはそんな遼太郎の視線を捉えて、ニッコリと幸せで満たされたような、綺麗な笑顔を見せてくれた。


 遼太郎は反射的に、立ち上がった。みのりは曇りのない笑みのまま、素直な眼差しで遼太郎を見上げる。遼太郎はそんなみのりの手にタオルを渡すと、キッチンへと踵を返して逃げ込んだ。
 顔だけではなく体中が熱くなり、ドキンドキンと心臓が跳ね上がって口から飛び出してきそうだった。


「……遼ちゃん?どうしたの?私、なにか怒らせるようなこと言った?」


 遼太郎の不自然な反応を不安に思ったのか、居間の方からみのりの声が聞こえてくる。


「なんでもありません。気にしないでください。」


 とっさに遼太郎は言葉を返すと、シンクに手をついて深呼吸をした。


 みのりに似つかわしい〝いい男〟になりたいと、ひたすら思い続けていた高校時代を思い出す。あの頃は、何をしてもそれに及ばない気がして、いつも悶々とした毎日を送っていた。

 でも、今、みのりの言う〝いい男〟になれているのだとしたら……、この二年半の試練も努力も無駄ではなかったのだ……。
 遼太郎はそう思いながら、みのりの言葉を噛みしめて、シンクにある食器を再び洗い始めた。



 遼太郎の用意周到さは、みのりをさらに感心させた。みのりの身の回りのものを買い揃えるだけではなく、一組の布団まで出してきた。


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