Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……遼ちゃんのこの体に、ナイフが突き立てられなくて、本当によかった……。」
やっと陽菜に狙われる心配もなくなって、みのりの口からポツリと本心がこぼれ出てきた。
しかし、この言葉に遼太郎の腕の動きが止まった。とっさに遼太郎は、みのりの左腕に張り付けられている大きな絆創膏に視線を走らせる。
……その瞬間、遼太郎の中にあった〝張り詰めていたもの〟が、弾け飛んでしまった。
それを何とか押し止めようとしたけれど、感情がうまく制御できなくて、唇が震え目には涙が滲んでくる。
「……遼ちゃん?」
遼太郎のこの変化を見て、みのりも不安になって声をかける。
遼太郎も何とかしようと思って、唇を引き結んだけれど、体中に震えが走ってうまくいかなかった。とうとう堪えきれず、遼太郎の唇からもその苦悩がこぼれ出てくる。
「……先生は、それでいいかもしれません。……でも、俺は……!先生の体にナイフを突き立てられてしまって……。」
みのりは息を呑んで、遼太郎を見つめた。その言葉を聞いて、遼太郎が心に抱えていたものが、みのりにもようやく見えてくる。
みのりが、この自分の命よりも大切に想う遼太郎。
もし、遼太郎も同じようにみのりのことを想っているのなら……。そのみのりをこんなふうに傷つけられて、その原因が少なからず自分にあると思っているのなら……、遼太郎が苦しんでいないはずがない。