Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「…いや、でも。俺に渡していいのかよ。やっぱ、これは遼ちゃんに…。」


 二俣は変に気を遣って、受け取るのを拒否しようとする。そんな二俣の言い方を聞いて、今度は途端にみのりの顔が赤くなる。


「もう!変なことに気を回さないで!みんなに食べてもらうために作ってきたんだから、いちいち遼ちゃんを呼ぶことないの!」


と、みのりは重たい紙袋を、無理やり二俣の手に押し付けた。


「みのりちゃん、今…『遼ちゃん』…って言った…。」


 そう指摘しながら、二俣の顔もみるみる赤くなった。
 みのりも心の中で「しまった…!」と思ったけれど、聞かれてしまったものはしょうがない。説明するのも変なので、


「今日は、頑張ってね。二俣くんはどこのポジション?」


と、さりげなく話の方向を変える。


「俺は、今日は右ロック。2年の時にやってたけど、久しぶりだし、この試合でラグビーともしばらくお別れだから、頑張るかな!」


 二俣はそう言って、にんまりと笑った。
 「しばらくお別れ」ということは、またいつの日かラグビーをする気があるのだろうか…?そんなことを思いながら、みのりは二俣の笑顔を見上げて微笑んだ。


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