Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
けれども、ラグビーをする遼太郎を見るのは、これが最後かもしれない。そう思うと、遠慮してはいられないと、みのりはちょこんと並んでいる椅子の端っこに座った。
そうしている内に、試合が始まる時刻になった。
練習試合といえども本格的で、資格を持つ他校の先生がレフリーを務めている。選手たちはレフリーにマウスガードを見せて確認してもらい、それを口に入れて、ハーフウェイラインを挟んで整列し、礼をする。
そして、円陣を組み士気を高め、それぞれのポジションに散っていった。
相手校のキックオフで試合が始まると同時に、激しい攻防がみのりの目の前で繰り広げられた。
タックルしようと待ち構えているところへ、ボールを持っている選手が突っ込んでいき、ぶつかり合うとき、スクラムの時のような「ウッ!」という決死の声が上がる。
体と体がぶつかり合う音といい、久しぶりに見るラグビーの試合の迫力に、みのりは拳を握り、息を呑んだ。
先週の遊園地に行った時以来雨が降っておらず、グラウンドは乾燥しきっているので、選手たちの周りには、もうもうと土ぼこりが上がる。
その土ぼこりの中を、みのりは目を凝らして遼太郎の姿を探した。