Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
ポジションが違うからだろうか。今まで観てきた試合よりも、相手と接触する際にラフなプレーが多い気がする。トップスピードに乗った状態で激しくぶつかり合うときには、思わずみのりは身をすくめた。
勢いよく向かってくる相手にタックルを挑むとき、どれだけの勇気を要するのだろう…。
逆に勢いよく倒されるとき、どれだけの衝撃を、その身体は受け止めなければならないのだろう…。
一時も休むことなく、自在に躍動する筋肉に覆われた遼太郎の身体が、雨の遊園地でみのりを強く抱き締め、包み込んでくれた…。
その時の優しさと、今目の前にある遼太郎の姿とのギャップに、みのりの胸は切なく反応する。
ずっと試合の間中、みのりは胸をさすりながら、遼太郎の姿をただ追っていた。
後半に入って、相手も味方も関係なく体力的にきつくなってくる時も、遼太郎と二俣はそんなことの片鱗さえも見せずに走り回っていた。
自動車学校で休んでいたとは思えないほどで、この試合に向けてコンディションを整えていたということが判る。
これだけ活躍している二人だけれど、このチームでプレーするのは、これが最後だ。四月になって新しい1年生が入ってきて、また一からチームを作りなおしていく…、そこが江口の手腕の見せ所と言ったところだろう。