Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「わ~っ!!二俣さん!!それだけは言わないで!!」


 二俣の口を押えようとするので、


「わっ!バカ!!お前、キタねー手で口触んなよ!」


と、二俣は徳井の手を振り払おうとする。
 子犬がじゃれ合うようなこの二俣の行動に、みのりは楽しそうに笑った。


「また、徳井が屁こいた話か?」


 その時、遼太郎が二俣の背後から声をかける。


「わ~っ!わ~っ!狩野さん!!言っちゃった~!!」


 徳井はもう真っ赤になって悶えている。


「聞いた?みのりちゃん。スクラム組む時、俺の顔の目の前で屁こくんだぜ!!逃げたくても、江口ちゃんが怖くてそれも出来ねーしよー。もう、サイテーだよ。大体、あんな場面でよく屁がこけるって思うぜ、こいつ。」


 二俣は真っ赤な顔の徳井の背後から、その首を両腕で締め上げた。


「…そんなにいじめちゃ、可哀想よ。」


と言いつつ、みのりも笑いが止まらない。

 徳井はプロップをしているだけあって、衛藤のようにずんぐりした生徒で、とても愛嬌があり、それだけで笑えてくる。


「そうだ。着替えた後、差し入れてもらったもの出すって言ってるぜ。」


 遼太郎がそう言うや否や、二俣は徳井の拘束を解き、小躍りした。


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