Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「もうない?…ウソだろ!?」
数分後、遼太郎が差し入れのところへ行き、人垣をかき分けた時、すでにみのりのおにぎりはなくなってしまっていた。
密かに楽しみにしていた遼太郎にとって、この落胆は大きい。恨めしそうな顔つきで、チームメイト達を見回す。
「徳井が、5個も6個もアホみたいに食ってたぜ。」
それを聞いた徳井が跳び上がって、口に入っている物をゴクリと飲み込む。
「…ふ、二俣さんだって、5、6個どころじゃなく食べてたじゃないですか~!ってか、まだ手に持ってるし。」
徳井も負けじと、二俣が両手に一つずつ持っているおにぎりを指さした。
「よし!それ、よこせ!!」
遼太郎が迫ってくるのを二俣は察知して、小走りで逃げ出した。そして瞬く間に、両手に持っていたおにぎりは、口の中に消えてなくなっていく。
「ああっ!!」
遼太郎が落胆の声をあげると、二俣は悪びれずにニンマリと笑って、指に付いたご飯粒もキレイに舐め取った。
「遼ちゃんは、またいつでもみのりちゃんに作ってもらえるじゃんかよ。」
そう言えば、遼太郎が何も言い返せないことを、二俣は知っている。
「このやろ…!」
遼太郎はすかさず、二俣の両脇をくすぐった。ここが二俣の弱点ということを、遼太郎は知っている。