Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「ギャハハハ…!や、やめ…遼ちゃん。まだ他にも差し入れあったぜ。早く行かねーと、なくなっちまう。」
ラグビー部員たちの尋常でない食欲を知っている遼太郎は、二俣にそう言われてハタと手を止め、もといた所へ踵を返した。
みのりはそんな姿の遼太郎を見て、自分といる時との違いを感じ、やっぱり高校生なんだなぁ…と、つくづく思う。とてもイキイキしていて楽しそうだ。
その様子を見て、みのりの胸に、キュッと切ない痛みが再び走った。
「先生も、どうぞ。」
マネージャーの一人が、楊枝に刺したリンゴを一切れ、みのりのところへ持ってきてくれた。
そのリンゴを食べ終わらないうちに、
「みのりちゃん。」
と、二俣がみのりの方へと近づいて来た。
その手にはバナナが2本ほど握られている。
いつもは仁王立ちする熊を連想するみのりだったが、バナナを食べる二俣を見て、思わず大きなゴリラを思い描いてしまった。
「みのりちゃん。こっち来て、部室見てみて。俺と遼ちゃんとで片付けたんだぜ。」
得意そうに言う二俣の後を、みのりは笑いをかみ殺しながら付いて行った。
以前の部室をあまり見たことはなかったけれど、キレイに整理整頓され、掃除が行き届いてるのは一目で分かった。足を踏み入れてみても、運動部の部室特有のスッパイ臭いもしない。