Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「ここまでするの、すんげえ大変だったんだぜ!隅の方には、10年くらい置かれたままになってるような物もあったりして。」
バナナを食べながら、二俣は大きな目をさらに大きくして説明する。
「エトちゃんのスパイクなんか、5、6足出てきたしよ~。なっ、遼ちゃん。」
そう言いながら、戸口に立った遼太郎に目を向けた。
遼太郎は、目を細めて楽しげな笑みを浮かべ、鼻から息を抜く。
振り向いて、その笑顔を見たみのりの心臓が、一つ大きく鼓動を打った。こんな風に、遼太郎の些細な仕草にもみのりの胸は感応し、この人のことが好きなんだと改めて自覚する。
「そう言うふっくんだって、やっぱり何足か置きっ放しになってたけど。」
という遼太郎の指摘に、二俣は肩をすくめて聞こえないふりをして、みのりに向かって続ける。
「使えないコンタクトバッグなんかも何個も出てきて、それやら何やらを全部二人で片付けたんだぜ!」
「全部二人で?!それはすごい!ホントにキレイになってるから、ずいぶん頑張ったんだね。」
みのりがそう言ってあげると、二俣はそれを聞きたかったとばかりに、ニッコリと笑った。