ぼくのことだけ見てなよ
そんなセリフを吐いた美島に、彼女たちは身を寄せ合って、ただ怯えた目で美島のことを見ていた。

そして美島は、1人の女子のアゴをクイッと持ち上げると言った。

「ほら、ちゃんと顔上げなよ。キス、できないでしょ?」
「……っ、」
「なに、そんな怯えた顔しちゃって。ぼくと、こうしたかったくせに」
「ちがっ…!」
「チガウの?」

ヤダ……。わたしの中の、もう1人のわたしが見たくないと言っている。

だって、ウソでも今は見つめ合っていて(アッチは完全怯えた目だけど…)ホントにキスしちゃうくらい顔が近くて…。

「チガわないでしょ?椿姫を傷付けてでも、ぼくをモノにしたかったくせに。ホント、そういう性格の悪い子って、ぼく大キライ」
「……み、美島っ!」

さらにグッと顔を近付けた時。思わず美島の名前を叫ぶように呼んでしまった。

わたしの声に気付いた美島は、ゆっくりとコチラを振り返る。さっきまで冷たい声だったから、振り返った美島は当然のように、冷たい目をしていて…。

でも、それは一瞬で…。スッと立ち上がると、いつもの美島の顔に戻っていた。

そして、タタタッとわたしの元へ小走りでヤツは、やってきた。

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