溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦ってさ、正直なところ、彼氏いるの?」
私よりずっと早く食べ終わった先生は、水に手を伸ばしながら話し始める。
「いえ」
「そっか。じゃあ、好きな人は?」
心臓がドクンと大きな音を立てる。
好きな人、なんていないはずなのに。
「――いえ」
「そう」
小谷先生は満足そうに頷くと、運ばれてきたエスプレッソに口をつける。
それからの彼の話は、楽しかった。
学生時代の失敗談。
テニス部で、活躍した話。
なんでも、全国大会に出場するほどの腕前だったとか。
やはりがっちりとした体つきは、スポーツで培われたものだった。
大学に行かなかった私には未知の世界で、思わず身を乗り出してしまうほど興味深い。
「やっと緊張がほどけたね」
食事を終えて再び車に乗り込むと、先生は笑った。