溺愛ドクターは恋情を止められない

小谷先生の発言は、私を驚かせた。


「俺も、中学の時、事故でお袋を亡くしてるんだ。それで、医者になろうと思った。ガムシャラに頑張ってきたけど、やっぱりお袋のいた場所は、ずっと空洞のまま」


小谷先生も、寂しかったの?


「もう、いい歳して恥ずかしいけど、やっぱりお袋がいないっていうのは、大きな痛手だった気がしてる」

「先生……」


それが、彼が私に初めてみせた、弱さだったのかもしれない。
それがきっかけで、小谷先生に抱いていたイメージが変わった。

いつも元気で、冗談を言っているムードメーカーの彼が、私と同じような寂しさも持ち合わせていることに驚きが隠せない。

そして、同じような経験をした者同士、気持ちを通じあわせることができる気がして、心のバリアが解けていくのを感じた。
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