溺愛ドクターは恋情を止められない
「内藤さん、これ」
頼まれた材料を手渡すと、内藤さんは私の顔を覗き込んだ。
「都、疲れてる?」
「えっ?」
「顔が青いよ」
昨日、考え込んでよく眠れなかったところに、高原先生の発言。
ダメージを負ったのはたしかだけど、これではいけない。
「なんでもないです。まだ手伝うことがあったら言ってください」
「ありがと。これから一台救急車入るから」
「はい」
救急は、一瞬の気のゆるみが死に直結する場所。
事務の私達はそういうことは少ないけれど、大切な情報を聞きもらしたら、もしかして……ということもある。
ここには恋愛感情は必要ない。
私は気合を入れ直した。
それから、救急車が続いた。
ひっきりなしに鳴るサイレンに、ちっとも慣れないけれど、それでも少しずつ要領はわかってきた。