溺愛ドクターは恋情を止められない
どうしてだろう。胸騒ぎがする。
やがて処置室で、薬の名が飛び交い、「松浦、レントゲン呼んで」という高原先生の大きな声。
慌てて技師に電話を入れて、ポータブルの手配をする。
その間に、内科系の救急要請も入った。
「酒井先生、救急受け入れ要請ですが、電話に出られますか?」
中川さんが高原先生と共に処置室にいた酒井先生に声をかけると、すぐに返事があった。
「うん。すぐ行くわ」
酒井先生はそれからスタッフルームに戻り、電話に出ている。
すると「松浦、ちょっと」と高原先生に呼ばれた。
治療中に、こんなことは珍しい。
処置室に行くと、全身痣だらけの男の子が横たわっていて、ナースがなぜか写真を撮っていた。
私の顔を見た先生が、手招きするから近づいていくと、耳元に手をかざした彼が小声でつぶやいた。