溺愛ドクターは恋情を止められない
「私達は、ひとつでも多くの命を救うのが使命です。ですから、今はお子さんをお預かりします」
高原先生は強い視線を、母親からそらさない。
「でも、息子さんにはお母さんが必要なんです。しばらく息子さんから離れて、考えてください。必要なら、お母さんのカウンセリングも……」
「ろくでなし」
突然殴りかかった母親は、振り下ろした手を先生にあっけなく止められた。
「ろくでなしでもかまいません。命より大切なものなどない」
今までとは違う強い口調の高原先生は、鋭い目で母親を見つめたまま再び口を開く。
「息子さんは、自分で転んだと言っていました。それにしてはひどすぎるケガだし、過去の傷も多すぎると言っても、頑なに」
「えっ……」
「お母さんが、大好きなんですね」