溺愛ドクターは恋情を止められない
「ごめんなさい」
「大丈夫だ。あれだけの恐ろしい経験をしたのだから、当然だ。今日は睡眠薬を使おう」
睡眠薬……。
「先生、あの子は?」
あの子は無事だと聞いたけれど、あの子は毎日こんなに苦しんでいたの?
「大丈夫。副院長に来てもらったから。松浦のいいところは、他人の気持ちがわかるところだけど、全部背負ったらダメだ。あとは俺達を信じて、任せなさい」
副院長は心療内科の権威。
「……はい。ごめんなさい」
もちろん、私ができることなんてないのはわかっている。
それでも、同じような体験をしたからか、あの子の胸の痛みが乗り移ってきたようで苦しくなった。
「なんて、偉そうなことを言ってるけど……俺も実は同じ。清春に感情移入してしまうのは、やっぱり同じ経験をしたから」