溺愛ドクターは恋情を止められない

うなだれた彼は、「ふぅー」と大きな溜息をついてから再び口を開く。


「初めて担当した患者が亡くなった日、ナースと関係を持った。医師免許を取ったら、どんな病気でも治せるんじゃないかって、バカなこと考えてたから、耐えられなかった」


小谷先生がそうやって女の人を抱いたことを、仕方がないと言うつもりはない。
だけど、目の前で失われた命に落胆し、その責任の重圧に苦しんだ彼の気持ちだけは理解できる。
きっと、高原先生と同じ。


「自分の弱さにあきれるよ」


いつもは一番明るい小谷先生の胸の奥に触れた気がした。


「だけど、もう間違えない。そんなことでごまかしても、なにもならない。そんな暇があったら、次の患者は救えるように、もっと勉強すべきなんだと、ようやく気がついた」


自嘲気味に笑う彼は、少し苦しげな顔をして私を見つめる。

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