溺愛ドクターは恋情を止められない
「……ごめん。余計なこと聞いたな」
「いえ、大丈夫です。もう立ち直ってますから」
精一杯明るい声で返した。
たったひとりの家族を亡くした時は、すごく落ち込みもした。
けれど、この道を志したのは、母の事を誇りに思っていたからだし、私のために命を削って、ギリギリまで働いてくれた母に感謝している。
「松浦、今日もひとりなのか」
「そうです。でも、もう慣れましたよ」
「今日はダメだろ」
一瞬目が泳ぐ。
見抜かれている。
どんなに平静を装っても、さやかちゃんの死に、胸が押しつぶされそうになっていることを。
先生と話すことで気が紛れてはいるものの、血だらけのさやかちゃんが、何度もフラッシュバックする。
そして、呼吸の整わない、汗だくの高原先生の姿も……。