溺愛ドクターは恋情を止められない

クスクス笑う先生は「小谷になにもらったんだ?」と私の持っていた袋を覗いた。


「ケーキです」

「まったく、アイツは女心がわかってやがる」


という先生も、袋を下げている。


「でも俺はこれ」


私に渡してくれた袋には、お弁当と、チョコレート。


「先生、ありがとうございます」


ケーキもうれしいけれど、お弁当もうれしい。
冷蔵庫の中にはもうなにもない。


「でも、そっちは?」


彼はもうひとつ袋を下げている。


「こっちは俺の弁当。食べ損ねてばかりで腹減ったから」

「あっ、あのっ……」


ドキドキする胸に手を当てながら、勇気を振り絞る。


「もしよければ、一緒に食べてくれませんか?」


部屋に誘うなんて、大胆だったかもしれない。
だけど、もう少しだけ彼と一緒にいたい。
< 303 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop